梅ちゃん先生のティールーム

梅ちゃん先生のティールーム第1回~宋美玄・産婦人科医④国民目線のない国会議員

梅村:「そもそもベビーシッターに預けたりするのはけしからん」みたいな意見はあった?

宋:子育て中の女性芸能人が「知らない人に預けるなんて信じられない」みたいなことをテレビ番組中で発言してて、ネットで炎上してたわ。

司会:「子どもを預けるなんて、そんな母親はダメだ」みたいなことをブログで書いていた政治家もいましたね。一般市民からは反発を買ってましたけど。

梅村:ただね、それは表に出て言うからネットで拡散しているだけで、国会議員の中にも、記者に話を聞かれていないクローズドな場やったらそういうことを言う人はいっぱいいるんですよ。

司会:どういうことですか?

梅村:今の国会議員って、自分の境遇から発言する人が多いんですよ。国民は政治家に対して、私的な立場ではなく、世の中がどうなっているのかを分かって発言してほしいと期待している。でもね、自分の置かれている状況とか家庭環境から発言する議員が、今すごく増えてる。

宋:そんなん、誰でも言えるやん。

司会:そのような方、政治家であってもらっては困ると思いますが……。

梅村:そう。だけどそういう人が非常に多くて、それが今の政策のいびつさを生んでいるような気がするんよね。その政治家がなんぼ金持ちで、高級レストランで飯を食おうが、高額のベビーシッターを雇っていようが、それは別に構わない。でも、国民の現状がどうなっているのか、人に聞いたり見に行ったり想像したりして、そこから発言していくのが政治家の本当の仕事のはずなんです。それなのに自分の環境から、「そんな子育ての仕方が蔓延しているのはけしからん」というような、ネット上の匿名掲示板に毛が生えたような発言をされる議員さんもいるので、やっぱりその辺が政治の問題かなと。

司会:しかもそれが永田町のマジョリティであると…。霞が関はどうなんでしょうね?

梅村:霞が関は「今の現状はこうです」と反論はしてくれるんですよ。でもその反論は、決して国の全体のバランスを考えて反論してるんじゃない。自分たちが抱えている利害関係者、例えば保育園や幼稚園に関する政治連盟とかもあるでしょうし、そういう支援団体の利害関係をどうやって取ろうかと必死になって、その政治家に対して文句言ってるだけなんですよね。それが良いことだと心から思っているんじゃないですよ。別の利害関係者から怒鳴られたくないだけで。

司会:永田町も霞が関も、国民目線じゃないですね。

宋:自民党は「伝統的家族感」とか言うけど、簡単に言うと、主婦が1人で全部やるっていうことやん。介護保険も保育サービスもいらんと。国にとって「絆」という言葉は非常に都合がいいよね。「絆という名のもと国民は助け合いなさい。後は知りません」みたいな押し付けにできる。やっぱりロビー活動をするしかないんかな。

梅村:今の官僚の気質から言えばね。

宋:でも、正しいことを100万回言っても偽科学は広まるし、利害でモノは動くし。世論をちょびっとだけ動かすっていうのも、大事かもしれん。

梅村:僕は厚生労働が中心だったけど、文部科学関係にもちょっと触れててね。それで分かったことは、厚生労働よりも文部科学の方がロビー活動は激しいですよ。

司会:どういう風にですか?

梅村:団体の中で意見の相違がないんですよ。例えば開業医という枠にしたって、在宅医、専門クリニックの開業医、手術もしている開業医とでちょっとずつ利害が違うじゃないですか。だから、要求として角の丸まったものが上がってきます。でも、例えば「幼稚園」にとったら、「保育園」は敵なんですよ。だから徹底的に相手に勝とうとする。だから、保育士と幼稚園教諭を同じような資格に近づけることは絶対にまかりならんと。でも、その要求は子どものことを何も考えていないわけです。一般国民からしたら、別に資格問題なんて関係ない話で、いい保育や教育をしてくれたらいい。でも彼らは資格を一緒にされると利権の問題があるから困る。だから徹底的に戦おうっていう考え方があるんですよね。

司会:面白いですね。

梅村:例えば、認可保育園で働いている職員さんからは、あくまでも自分の労働条件を守るという以外の要求を出してこないわけです。その人らの支持を得て当選していくボス達は、なんとしてでもそれを主張しようとします。だから、文部科学という世界は厚生労働とはまたちょっと違うんです。ごめんなさいちょっと話がそれました。

(つづく)